夫リンパ球免疫療法 不育症 習慣流産2014.07.13更新
不育症・習慣流産の治療で、
夫リンパ球免疫療法
を希望して、当院に来られる方がいますが、
当院では行っていません。
夫リンパ球免疫療法は、
1980年代から1990年代にかけて
一時期行われてきましたが、
現在では、効果がないことと、
夫リンパ球免疫療法を受けた側(通常は妻側)
が感染症になる危険性があり、
世界中で中止されている治療です。
Lancet 1999 354(9176):365-9.
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特に、アメリカ食品衛生局(FDA)は
夫リンパ球免疫療法を行う場合は、
通常診療で行うことは認めず、
研究・実験目的のみで行うべきだと勧告しています。
明らかなことは、夫リンパ球免疫療法は、
妊娠継続率を上げることはないということです。
ですから、もう一度言いますが、
当院では
夫リンパ球免疫療法
は、行っていません。
明らかに医学的に効果があるという確固たる根拠がなければ、
今後行うことは無いでしょう。
それは、効果がないことを、あたかも効果があるようなことを言って、
不育症・習慣流産に悩む方を惑わしたくないし、悲しませたくないからです。
万が一、効果がなくてもよいからという理由で
どこかの医療施設で行うのであれば、
夫リンパ球免疫療法は、輸血することと同じなので、
日本産科婦人科学会のガイドライン
に沿って、必ず、
放射線照射
をしたリンパ球を利用してください。
未照射のリンパ球を接種することにより、
移植片対宿主病(GVHD)
を発症し、重大な副作用を引き起こす場合があります。