不妊治療アドバイスブックでは、不妊治療をお考えの方にあてて、当院長が不妊治療に関する技術や考え方などの情報をお伝えしていきます。
未婚女性の卵子凍結保存について 2025.08.28更新
最近、「年齢とともに卵子は老化していきます。」
「妊娠率は、年齢とともに下がっていきます。」
という事実を知るようになり、
「将来、子どもが産めなくなるかもしれない。」
という不安を感じている女性が少なくありません。
女性の高学歴化、社会進出、晩婚化がすすみキャリアを積む女性が増えてきた中で、
未婚で相手がいなくても卵子を凍結し、将来の結婚、妊娠そして出産に備えようと
希望するのは女性として当然の思いです。
これは、将来に遭遇するかもしれない病気、疾病、事故に備えて様々な保険に加入
するのと同じです。卵子の老化を、不妊治療で克服するのには難しい場合があります。
海外においては、卵子を凍結する技術は、
20年以上前から第三者への卵子提供に広く活用されています。
私が、Baylor College of Medicine に在籍していた頃は、アメリカ国内の体外受精施設では、
卵子凍結はすでに確立した技術でした。
凍結卵子が10個ある場合、妊娠継続し、出産できる確率は約40~80%です。
女性の年齢が若いほど、出産率は高いですが、年齢を経るごとに、出産率は低下します。
可能であれば、10~15個凍結することが望まれます。
日本産科婦人科学会は、がん患者(白血病や乳がん等)の方が治療の影響で
不妊になることを防ぐために、未婚であっても卵子を凍結保存することを認めています。
私たちはこれまで、静岡県内の地域基幹病院と連携して、
未婚で悪性腫瘍・白血病・がん患者の方の
卵子・精子・生殖細胞を凍結してきたという実績があります。
アクトタワークリニック及び生殖発生医科学センターでは、
通常の不妊治療・体外受精・顕微授精・胚凍結だけでなく、これからの女性のライフスタイル
に合わせて卵子凍結も可能な世界基準の施設です。
将来、理想のパートナーと結婚し、自然妊娠すれば問題ありません。
しかし、私の外来に相談にくる未婚女性の中には、自分の年齢を考え、
この人と結婚したら、卵子が老化している私の年齢が原因で赤ちゃんができないかもしれない。
だったら、この人をお父さんにしてあげたいから、この人に赤ちゃんを抱っこさせてあげたいから、
私は、この人との結婚をあきらめます。と言って涙を流す女性が少なくありません。
同じような涙をこれ以上多くの女性に流させないことが私たちの信念です。
不妊症になるかもしれないという今後のリスクに備えて、卵子を保存しておくことは、
女性の人生設計の中で一つの選択肢として考えるべきなのかもしれません。
卵子凍結は、海外では当たり前に行われている不妊症にならないため、
そして不妊症で悩まないための予防医療の一つであり、
女性のQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上に大きく貢献しています。
まずは、最初の一歩として、アクトタワークリニックへご相談(メールフォーム)ください。
受診希望の方は、問診票をダウンロードしご記入の上ご来院されますと、
診察までの待ち時間が短くなります。
問診票(卵子凍結).pdf
医療法人社団奨寿会 アクトタワークリニック 院長 松浦俊樹
着床前遺伝学的検査(PGT-A)について 2024.12.20更新
着床前遺伝学的検査(PGT-A)については、
こちらをご参照ください。
精液検査について 2024.11.29更新
【精液検査のついて】
精子検査とは、精子量、精子濃度、精子の運動率、形態等を検査します。
【精液検査の流れ】
前日までに精液検査の予約をお願いしております。
専用容器は、当院でお渡しすることができます。
精液検査の受付時間は、午前9:00~10:00となります。
精液は、ご自宅で採取していただきます。
採取前2日間程度は禁欲期間を設けてください。
専用容器に入れて室温に保ち、3~4時間以内に当院へお持ち込みください。
持参するときは、専用容器をタオル等で巻き、
保冷剤やカイロ等は使用しないでください。
ご持参の日の午後以降には結果が出ます。
精液検査の結果は、専門の医師よりご説明させていただきます。
当院では、原則、ご本人様に結果をお伝えする方針ではありますが、
ご希望により奥様もしくはパートナーの方にお伝えすることも可能です。
【精液検査基準値(WHO・世界保健機構・2021年)】
精液量:1.4ml以上
精子濃度:1600万/ml以上
運動率:42%以上
正常形態率:4%以上
【費用(保険診療)】
精液一般検査 310円
判断料 100円
【注意事項】
※ 他に初診料・再診料等の請求があります。
※ DFI(DNA断片化指数検査)・ TAC(精子抗酸化力検査)の検査も可能です。
卵子を育てる方法 2022.10.31更新
卵子を育てる方法には、大きく分けて5種類あります。
① 完全自然周期
薬や注射を使わない方法です。
薬や注射が無いため、からだへの負担は少ないです。
自然にきわめて近い方法での採卵が可能です。
採卵日に排卵済みとなる場合があります。
② クロミフェン自然周期(C周期)・レトロゾール自然周期(F周期)
薬は服用していただきますが、注射は使わない方法です。
自然に近い方法での採卵が可能です。
採卵日に排卵済みとなる場合が、①完全自然周期と比較すると低くなります。
③ 低刺激周期(1)
薬を服用しながら、注射を2日に1回程度行う採卵方法です。
注射の回数は、3~5回程度となります。
注射は、院内にて行う方法と、自己注射用キットにて行う方法があります。
自己注射用キットをご利用の場合は、通院回数を減らすことができます。
院内と自己注射を併用して行うことも可能です。
④ 低刺激周期(2)
薬を服用しながら、少量の注射を毎日行う採卵方法です。
注射の回数は、6~8回程度となります。
注射は、院内にて行う方法と、自己注射用キットにて行う方法があります。
自己注射用キットをご利用の場合は、通院回数を減らすことができます。
院内と自己注射を併用して行うことも可能です。
20歳代~30歳代・AMH値が高い方等に有効です。
⑤ 高刺激周期(ショート法・ロング法・アンタゴニスト法・一部のPPOS法)
お薬を服用しながら、注射を毎日行う採卵方法です。
注射の回数は、7~12回程度となります。
卵巣が腫れたり、腹水が溜まるなど、からだへの負担は大きいです。
注射は、院内にて行う方法と、自己注射用キットにて行う方法があります。
自己注射用キットをご利用の場合は、通院回数を減らすことができます。
1日毎など、院内と自己注射を併用して行うことも可能です。
当院では、患者様のご希望、ご体調等を考慮して、
卵巣刺激方法をご相談させていただいております。
「生殖医療Q&A」 よくあるご質問 2022.09.13更新
日本生殖医学会より、
「生殖医療Q&A」として、
不妊症や不育症に関する一般的な
よくあるご質問をまとめたサイトがございます。
こちらをご参照ください。
花粉症の薬について 2022.03.02更新
この季節(3月頃)になると、花粉症が気になる方も多いと思います。
不妊治療中の方は、
アレルギー性鼻炎(花粉症:くしゃみ、鼻水、鼻づまり等)の症状がでると、
使用する薬について心配になることと思います。
一般的に、ヒスタミン受容体拮抗薬などの
花粉症の点眼薬・点鼻薬・内服薬は不妊治療中でも使用できます。
ロラタジン(クラリチン)
エピナスチン(アレジオン)
レボセチリジン(ザイザル)
セチリジン(ジルテック)
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン)
などが安全性や有効性が高く、処方さることが多いかと思います。
漢方薬を好まれる方には、
当帰芍薬散
小青竜湯
を処方されることもあります。
花粉症の薬によっては、
眠気が強くなったり、
麻黄を含有している漢方薬は、
妊娠を考えていたり、妊娠中の方は使用を控えた方がよいとされることもあります。
(内服薬についての詳細は、かかりつけ医、処方医もしくは薬局の薬剤師にご相談ください。)